失敗しない就職活動をするためには、就職を希望する企業や仕事の内容を良く知ることが大切です。
企業や仕事を知る方法はいく通りもありますが、インターネットを使って企業のホームページの閲覧やインターンシップを通して企業体験する、もしくは合同説明会に参加することなどが一般的なものでしょう。
なかでも合同説明会に参加した人の中には、VR採用を体験したことがあるかも知れません。
ここでは、今後ますます導入の動きが顕著化すると予想される、VRを使った採用活動の事例について紹介します。
企業の人事担当の方やこれから就職活動をする方は、是非とも参考にしてください。
■VR採用活動とは?
就職活動をする学生にとって、企業が一同に会する合同説明会に参加することは、それぞれの企業の違いがわかりやすく、貴重な機会と言えるでしょう。
しかしながら、ブースに出向いて担当者から口頭で説明を受けたり、企業紹介のビデオを見ただけでは、なかなか企業の良さや特徴が伝わりにくいのも事実です。
実際の映像を使った臨場感のある仮想空間であるVR(ヴァーチャルリアリティ)を通して、わかりやすく会社や仕事内容などを体験してもらうのがVR採用活動です。
企業訪問や職場体験、働いている人の様子などを、リアルに体験できるVR採用活動は、口頭説明や映像説明では得られない、体験型の企業アピールの形態として注目されています。
■VR採用に必要なもの、技術について
従来の平面的な企業紹介ビデオでは得られない、奥行きのあるリアルな仮想空間の中で実際に企業のアピールしたい点をわかりやすく、飽きさせず、しっかり記憶してもらうための工夫を施す必要があります。
そのためにはロールプレイングゲームのように、企業紹介の中に説明や想定される質問を織り交ぜながらVRコンテンツを制作します。
流れや見せたいポイントを打ち合わせてシナリオを作成して、実際の映像をVR専用カメラで撮影します。
撮影したVR映像に前述の説明や想定される質問を挿入するなどの編集を施し、完成したコンテンツをVR機器にインストールします。
VR採用には体験するためのPCやスマホ、専用ゴーグルなどのVR機器が必要となります。
■実際にVR採用を行った企業は?
企業の合同説明会を含め、既にVR採用活動を行なっている企業は増えつつあります。
実際にVR採用を行なった企業を紹介します。
・フェンリル株式会社
https://www.fenrir-inc.com/jp/news/2018/03/02/newgrads-2019/
デザインと技術を強みとし、エンターテインメント系から実用的なビジネスツールまでスマホやPCアプリの開発を手掛けるフェンリルは、VRゲームを採り入れた「0次選考」を導入しました。
自宅にいながら手軽にスマートフォンを使って体験する、なぞ解きをしながら脱出するゲームコンテンツです。
合計3ステージをクリアすると証明書がダウンロード可能となります。
ゲームを通して、会社のデザイン力などのこだわりが体験でき、クリア証明書を持参すると選考に有利になる可能性がある点もユニークな取り組みと言えるでしょう。
・株式会社ライフコーポレーション
https://www.excite.co.jp/news/article/MoguraVR_lifecorp-vr/
大手スーパーのライフコーポレーションは、これまでの印刷物、ビデオ等の映像コンテンツでは伝わりにくかった、会社や仕事と内容などを、より短時間でわかりやすく知ってもらう方法としてVR採用を導入しました。
入社後のミスマッチを防ぐことも導入の目的としています。
VR採用を導入することで、合同説明会への参加者が増えたことを報告しています。
■VR採用のメリット
ビデオストリーミングでは伝わりにくい、リアルな会社内容や職場を体験してもらうことで、入社後のミスマッチを防ぐことがメリットとして挙げられます。
また、遠隔地にいながら時間や場所を問わず、均一な説明が受けらえるVR採用ならではのメリットがあります。
何より地方の優秀な人材確保に繋がる点は、採用する企業にとっては大きなメリットです。
■VR採用のデメリット
より自社を知ってもらい、優秀な人材を採用するためには、企業を良く理解できる臨場感のあるオリジナルVRコンテンツを活用することが有用です。
メリットの多いVR採用ですが、シナリオ作成からVR撮影、編集工程までの制作費に加えて、体験するVR機器を用意する費用が掛かる点はデメリットと言えるでしょう。
また、人によっては粗悪なVR映像に酔う場合があるので注意が必要です。
■今後VR採用は普及するか?
企業を良く理解してもらう採用方法としてVR採用の導入は増えています。
また合同説明会において、より多くの集客が得られるVR採用は、一過性のトレンドに止まらず、今後ますます普及すると見込まれます。
また、前述の通り入社後のミスマッチや食い違いによる早期退職を防止する点からも、採用したいと考える企業理念に合った人材の採用に繋がることから、必然的な流れと言えるでしょう。