VR開発会社ジョリーグッドで働くメンバーを紹介するリレー企画「JG PERSON」。今回登場いただく第4走者は、CFO(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)の重盛三千緒さんです。新しいもの好きで、チャレンジ精神旺盛な重盛さんが掲げるスローガンは、“スタートアップから日本を元気に”。VRの可能性や将来性を追求しつつ資金調達を行うCFOのおかげで、ジョリーグッドの事業は進化を続けています。
誰もやったことがないことに価値がある
JOLiC編集部(以下、編集):重盛さんがジョリーグッドに入った経緯は?重盛 三千緒(以下、重盛):入社は2018年6月です。先端でまだマーケットが未知数の分野と、テクノロジーに興味があり、VRという未知数の分野を手がけるジョリーグッドはやりがいがありそうだと入社を決めました。編集:未知数がキーワードですね。重盛:投資していただくにしても、“誰もやったことがない”ところに価値があると思っています。編集:以前はどんなお仕事をされていたんですか?重盛:新卒で入社したのは外資系金融機関。その頃は、まだ日本が元気だった時。アジアにおける日本の存在感が高く、経済的なマーケットも大きかったので、自由にやらせてもらえる環境でした。それが次第に衰退していって、いつの間にか日本はアジアの中の一つという扱いになり、アジア戦略に組み込まれるように。日本のマーケットに適さない仕事をすることが多くなって、ミスマッチを強く感じるようになったんです。編集:元気がなくなっていく日本を体感されたんですね。
重盛:元気がなくなった理由は、日本は失敗が許されない社会だから。日本人は手堅くやることは上手で現場力もあるけれど、失敗したらいけないという意識があって、私自身すごく窮屈さを感じていました。それを払拭できるのが、スタートアップ企業じゃないかと思ったんです。編集:スタートアップ企業ならではの魅力とは?重盛:チャレンジできるところ。失敗もあるかもしれませんが、みんなどんどん挑戦して、失敗すればいいと思っています(笑)。編集:テクノロジーの挑戦を、資金面からバックアップしていくのが重盛さんのお仕事?重盛:そうですね。私が前職のスタートアップ企業に入社した4年前は、チャレンジに対してお金が流れる仕組みが日本にほとんどなかったんです。だから、チャレンジする人へお金が流れるシステムをつくりたいと考えていました。編集:今よりもずいぶん厳しい環境ですね。重盛:もともと日本では、スタートアップ企業の起業時やできあがったIP(知的財産)への投資はありましたが、その途中がなかった。最近は途中課程にも投資する人が増えるなど、お金の流れが整ってきたので、スタートアップ企業もどんどん増え、少し日本が活気づいてきたように感じます。
進化を続けるには破壊力が必要。
編集:さまざまな企業で働いてきて感じるジョリーグッドの良さは?重盛:チームの人間がユニークで、温かいですね。編集:以前に勤めたスタートアップ企業とは違いますか?重盛:前の会社は働く人の半分以上が外国人だったので、国ごとの文化の違いなど苦労がありました。その点ジョリーグッドは安心感やチームとしてのまとまりがありますね。今は、そこにエネルギーをさらに注入して、破壊力をつける段階に来ているのかなと思っています。編集:なるほど。重盛:外国籍の人が多いとわかり合うために議論になるけれど、日本人同士だとわかり合えることが多く、和を意識しがちに。でも、イノベーションを起こす時は、思いっきり議論しなければいけないので、そういうエネルギーがもっと加わればいいなと思っています。編集:上路さんを見ていると、ブレークスルーする力が人の何倍もあるように感じますが。重盛:そうですね(笑)。だからジョリーグッドは上路さんのような人をもっとつくらないといけない。私がジョリーグッドに入社したのも、上路さんのエネルギーに惹かれたからなんです。編集:入社前から上路さんをご存じだったんですか?重盛:いえ、ジョリーグッドに応募して初めて会ったんですけど、第一印象から「破壊力がある人だな」と(笑)。編集:(笑)。重盛:話す言葉が率直というか、とてもストレートで。そんなところに強いエネルギーを感じて、一緒に仕事してみたいと思ったんです。
編集:応募当時、VRの知識や経験はありましたか?重盛:全然、無かったです。上路さんと会った時にVRの作品を見せていただいて、何かの課題の解決になる技術だと感じたんです。人間は唯一、道具を使って進化している動物であって、テクノロジーはその一つ。VRは人間の進化を助け、社会の課題が解決できるという期待が膨らみました。編集: VRの将来性を一瞬で感じとったんですね。重盛:お金というものは人生の選択肢を増やすためのもの。それと同様に会社の選択肢を増やすのもお金です。大きなプロジェクトをやるにしても元手がないとできない。会社でできることを増やすのが私の役割であって、仕事の醍醐味です。編集:資金調達はどのような流れで行うのですか?重盛:どのスタートアップ企業もそうですが3~5年の長期計画があって、その達成のためにどのくらい資金が必要か逆算し、投資家を募っていきます。ただし、一気に多くの資金を集めればいいというものでもなく、事業計画や株式のバランスを見ながら、資金調達しなければなりません。編集:投資家へのプレゼンテーションも重盛さんの担当ですか?重盛:上路さんはプレゼンテーションが非常に上手なので、ビジョンや事業計画という部分はお任せし、お金の面や条件交渉の部分だけ私が担当しています。ただVRは一般的にエンターテインメント性が強いので、ジョリーグッドの強みが伝わりにくいこともあり、そこが誤解無く伝わるよう注意しています。編集:実際に体験したほうがわかってもらいやすいですよね。重盛:VRを体験したことがない方、体験したことがあってもゲームなどでしか利用されていない方もいますので、仕事のトレーニング用など、ジョリーグッドのVRを実際に体験いただくのが一番効果的ですね。
VRには時空を超える感動がある
編集:ちなみに重盛さんがVRで初めて見たものとは?重盛:ジョリーグッドが手がけた軍艦島のVRでした。行ってみたかったところだったので、すごく感動し、興奮しました。時空を超えるとは、まさにこのこと。素晴らしい技術だと実感しました。編集:それほどリアルなんですね。重盛:憧れの軍艦島に立っているような感動が得られて、すぐにVRの魅力が理解できました。編集:その感動は、資金調達する上で重要なポイントになるのでは?重盛:どんな投資家に話をしたらいいか、イメージしやすくなりました。投資家でもターゲットを絞っている方もいるので、こういう最新テクノロジーに興味がある方はどんな人だろうと、常に考えていますね。編集:重盛さんから見たジョリーグッドの魅力とは?重盛:上路さんはビジネスの形をつくるのが本当に上手です。世の中にあるすごいテクノロジーでも、誰のために役立つのか考えないままつくられたものは、世に出ることがないままになることも多いですが、上路さんは常に、誰に届けるサービスなのかを考えていますね。投資家にもとても伝わりやすいビジネスで、それがジョリーグッドの特色になっています。
Profile
重盛三千緒 Michio Shigemori
外資系金融機関グローバルトレジャリーサービス、外資一般事業会社でのファイナンス、オペレーション部門を経て、2015年にFintechのファイナンス部門に転職。2018年にスタートアップ3社目となるジョリーグッドに入社し、CFOに就任。
Photo:Jiro Fukasawa