ジョリーグッド の「楽しい」を探る
<後編>CTO土門広弥:VRで「どこでもドア」を実現

個性を認め合う社風だからこそエンジニアが活躍できる

編集:土門さんはジョリーグッドをどんな会社だと思いますか?

土門:さまざまなバックボーンを持った個性的なキャラクターばかりですけど、お互いを尊重しながら仕事をしていて、とてもやりやすい環境だと感じています。

編集:そういう環境を守るための組織づくりは意識していますか?

土門:僕は設立当初の人数が少ない頃を経験しているので、それぞれの部署が分け隔てなくコミュニケーションできるのがいいなと。なので、風通しの良い環境をつくるようにしています。編集:他部署とのコミュニケーションも活発なんですね。土門:エンジニアチームとしては会話が多い方じゃないかな。営業や制作はまた違ったキャラクターが集まっていますが、いいバランスでコミュニケーションできていると思います。編集:個性的な面々の中で、土門さんが大切にしている個性とは?土門:個性かどうかわかりませんが、頼られる人でありたいと。だから、困った人を受け入れる余裕をなるべく持っていようと考えています。実際に、僕のことをドラえもんのように “土門えもん”と呼ぶスタッフもいるので、個性は発揮できているのかな(笑)。編集:“土門えもん”(笑)。すごく頼られている感じがしますね。 土門:こんな機能のソフトが欲しいという声がスタッフから上がれば、サクッとつくって、次の日に渡したり。僕自身が面倒くさがり屋なんで、ソフトを使ってみんなの作業時間が短縮できればいいなと。編集:周りからしたら神ですね!土門:でも自分から「ソフトをつくってあげる」とは言いませんよ(笑)。あくまで困っていたらです。編集:ジョリーグッドには上路さんが認める天才エンジニアがもう1人いるそうですが……。土門:浅川ですね。2016年入社で、僕の大学の後輩です。編集:土門さんから見てどんな人ですか?土門:ウェブもできて、MacやiPhoneのアプリもでき、FlashもAIもできる、マルチエンジニアです。僕とは役割分担ができていて、サーバー関連は浅川、アプリ関連は僕が主に担当しています。昔は毒舌ぎみだったけど、最近はソフトになった印象かな(笑)。編集:天才エンジニアが2人もいたら、ジョリーグッドは安泰ですね(笑)。土門:僕らはスタートアップ企業でいろんな分野を手がけるので、広い知識が必要なんですが、例えばAIだけを専門でやっている技術者に比べたら、情報力が劣る。そこに浅川は危機感を持っていて、最新の情報を取り入れる努力をしているところが素晴らしいです。

ゼロからつくれることはエンジニアの醍醐味編集:一緒に開発を進めるエンジニアに対して気遣っていることはありますか?土門:実はエンジニアは、実際にどう使われるのか想像できないまま開発に携わっていることが多く、「なぜこれが必要なの?」という疑問を抱きがちです。なので、そこを補完して伝えるように努力をしています。編集:最終的にどんなサービスになるのか見えにくいんですね。土門:その改善のためにも、エンジニアにもジョリーグッドが出展している展示会に行ってもらったりしています。お客さんが体験しているのを実際に見ると、自分たちのつくった仕組みがどう使われているのかわかりやすいですし、他部署の人の大変さも理解できるようになりますから。何よりお客さんがVRを体験したときの感動を間近で見ることは、仕事のモチベーションにもつながります。編集:“自分たちでつくった仕組み”という言葉がありましたが、ゼロから立ち上げることは面白いですか?土門: 面白いですね。僕自身は、既存のものを改良したケースの方が少ないんです。編集:通常エンジニアの仕事では、できあがっているものをメンテナンスしたり、改良したりという仕事が多いと聞きますが……。土門:ジョリーグッドはほとんどが新しくつくるものばかりなので、エンジニアとしてのやりがいを感じてもらえるのではないかと思っています。スタートアップ企業だからこそゼロからつくれるし、さらに自分のつくったサービスが世の中に出ていくのも見られるので、エンジニアの醍醐味も味わってもらえると思いますよ。編集:2017年に発表された「Guru Chari VR」は土門さんが手がけたものですよね?土門:そうです。以前展示会で見たVRを連携したエアロバイクに着想を得て、研究・開発をスタートさせました。映像とエアロバイクの連動性には、少し苦戦しましたが、いろいろ調べながら、なんとかつくりあげました。

 

編集:デモ機の前には扇風機もあり、風も体感できるようになっていますよね。土門:映像と漕ぐ動作がリンクできたら、次は風も欲しいよね、と。当時は風を連動させるシステムというものが世の中になかったので、独自につくるしかなかった。編集:風の仕組みはオリジナルなんですね。土門:扇風機は取り寄せたんですけど、どうやって連携させればいいのか悩んでしまって。周りのエンジニアに相談したんですけど、いい案が浮かばず、結局1人で進めることになりました。編集:1人で!?土門:ある機材を扇風機のハード部分につければいいとわかり、自分でハンダづけなど、電子工作までやりました。感電の危険性もあったので、そこだけは少し慎重に進めました。編集:ソフト開発だけでなく、ハードも手がけたんですか。土門:最初の頃は、展示会へ運び出す時に少し動かしただけで断線してしまって、会場で工具を使って直すということもありましたね。

 

VRはテレポテ-ションできる夢のソリューション

編集:ジョリーグッドで一番印象に残っているお仕事は?土門:いろいろありますけど、社員が5、6人の時に参加した、幕張メッセの展示会ですね。編集:どんな思い出が?土門:新サービスの発表だったんですが、デモンストレーション用の機材の開発が間に合わなくて、上路さんが登壇してプレゼンテーションを行うという本当にギリギリの段階まで、ブースの陰で開発を行っていました。編集:ブースの陰で開発……!!土門:当時はつくる人間が僕しかいなくて、かなり差し迫った状況だったんです。VRの映像編集、アプリや管理画面の開発などもあり、さすがに1人じゃ無理だなぁと実感しました(笑)。編集: 映像編集までされていたなんてすごい! 土門さんの武勇伝ですね!土門:当時を思い返しても、どうやって仕事をこなしていたのか覚えていない(笑)。これは自慢になる仕事のひとつです。編集:その頃に比べるとVRも進化し、今後の将来性も期待される分野ですよね。土門:VRの観点では、デバイス先行ではありますが、今までできなかったことができるようになり、価格も購入しやすくなったことで一般にも広がってきて、チャレンジしがいのある分野だと思っています。編集:ジョリーグッドも成長を続けていますしね。土門:社員も増えて、ようやくチームの形ができてきたところです。まだ改善する余地も多いので、伸びしろのある会社です。編集:土門さんもジョリーグッドで成長できたと感じていますか?土門:そうですね。先ほども言ったように、さまざまなバックグラウンドを持つメンバー同士リスペクトし合い、長所を活かしながら仕事をすることができるようになりました。先輩、後輩などの隔てなく、フラットに接する社風のおかげかもしれません。編集:土門さんが一緒に働きたいと思うエンジニアとは?土門:新しいもの好きで、いろんな発案ができ、挑戦してくれる人がいいですね。チャレンジすることが未来につながっていくと思うので。僕自身もプライベートでの好奇心が、ビジネスにつながっているので、様々な経験や発想を仕事に活かしてもらいたいです。編集:では、最後にVR開発の魅力を教えてください。土門:VRを初めて体験した時、これは「どこでもドア」だと、すごく感動したんです。どこへでもテレポーテーション(空間移動)できると。全人類の夢を叶えるソリューション開発は、本当にやりがいのある仕事です。

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Profile
土門広弥 Hiroya Domon
大学在学中に上路と出会い、2008年より博報堂DYグループにて映像配信プラットフォームや、ロケーションベースの観光ガイドアプリなどの開発ディレクション業務に従事。2015年、株式会社ジョリーグッドに参画。インフラ構築からアプリ開発、360度映像の制作まで幅広く担当。2018年、同社CTOに就任。

Photo:Jiro Fukasawa

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